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月別アーカイブ: 2025年9月

秀英舎のよもやま話~変遷~

皆さんこんにちは!

株式会社秀英舎、更新担当の中西です!

 

~変遷~

 

“運ぶ”から“現場のスループットを設計する”仕事へ ️

建設現場の当たり前——必要な資材が、必要な階・必要な数・必要な時間に並んでいること。
この当たり前は、荷揚げ(揚重・資材搬入)の段取り力で成り立っています。ここ10〜20年で現場環境は大きく変わり、荷揚げ業者に求められる役割も運ぶ人から工程を前に進める人へと進化しました。本稿では、時代の変遷を振り返りながら、いま現場が荷揚げに求める中核ニーズを整理し、すぐ使える実装アイデアまで落とし込みます。


1|時代の変遷:荷揚げの“当たり前”はこう変わった

① アナログ大量搬入 → JIT・細分化搬入(半日スロット)⏱️

  • 以前:仮置き場に“まとめてドン”。現場は置場広く、工程も緩め。

  • いま:都市部の狭小現場・短工期が一般化。30〜60分の時間窓でエレベーターやクレーンを共用、午前○セット/午後○セットジャスト・イン・タイムが標準に。

② 人海戦術 → マテハン・安全標準化

  • 以前:体力勝負、属人的。

  • いま:台車・ハンドリフト・階段昇降機・簡易リフト・荷揚げロボの活用、合図・ゾーニング・養生の標準化で“軽く・安全に”。

③ 口頭連絡 → デジタル同期(ETA/ePOD/フロアマップ)

  • 以前:電話と紙伝票。

  • いま:到着予測(ETA)共有、電子受領(ePOD:写真・個数・位置)、フロア別配置図のクラウド共有で“待ち”と“探し物”を削減。

④ 一括請負 → 多職種インターフェース

  • 以前:運ぶ=完了。

  • いま:内装・電気・設備・サッシなど各職種の作業順まで踏み込み、「どの順に並べれば今日の生産性が上がるか」を設計。**“置き方の質”**が評価対象に。

⑤ 労務規制の強化 → 中継・スロット・待機課金の明確化 ⚖️

  • 長時間拘束の是正に伴い、中継輸送・時間窓厳守・待機時間の可視化が進行。“無理やりどうにか”の余地は縮小、契約と運用の設計力が差に。


2|いま現場が求める核心ニーズ(5本柱)

1) 時間の正確さ:待たせない段取り

  • スロット予約(クレーン・搬入路・EV占有)

  • ETA共有でクレーン・職種と時間で合流

  • 差し込み枠を1日数本確保して“急ぎ”に即応

2) 安全とコンプライアンス:ゼロ事故の証跡

  • 合図者の明確化、吊荷下立入ゼロ、立入禁止のゾーニング

  • 養生・角当て・バンドのSOP(写真つき手順)

  • 点検・KY結果を写真+タイムスタンプで残す

3) 品質(ダメージゼロ):置き方が生産性を決める

  • 先入れ先出し、曲げ・反り防止、作業順に合わせた並べ替え

  • 階段上げの人員配置や**中継置場(バッファ)**の設計

  • **“翌日の1手目が軽くなる”**配置図

4) トレーサビリティ:数・場所・状態の見える化

  • ePOD(数量・ロット・配置場所・傷の有無)

  • フロアごとの配置マップ共有(スマホ)

  • クレーム時の因果切り分けが即日で可能

5) サステナ&コスト:ムダ歩きゼロ/再利用前提

  • リターナブル養生・台車共用化、空搬送の削減

  • 搬入→バラシ→回収までの往復設計

  • KPIはOTIF(時間内・数量内達成)×損傷率×待機時間で評価


3|“価値提案”としての商品化(そのまま使える型)

A. OTIF保証パック(時間と数量の約束)

  • 到着時間±15〜30分数量100%配置完了時刻をKPI化。

  • 超過時は待機課金代替車手配SLAでフェイルセーフ。

B. ダメージゼロ&作業効率パック

  • 養生仕様・角当て・台車種の標準化、作業順配置図の提出。

  • 翌日の**“1手目短縮時間(min)”**をレポート。

C. デジタル同期パック

  • ETAダッシュボード+ePOD+配置マップをまとめて提供。

  • 監督・職長が**スマホで“どこに何枚”**を即確認。


4|現場で効いたミニ事例(ショートケース)

  • タワマン内装期/ボード200枚/フロア

    • Before:EV渋滞→大工手待ち多発。

    • After30分スロット各戸バッファ矢印養生

    • 効果:1フロア完了が**−90分**、損傷率ほぼゼロ。

  • オフィス改修/夜間限定

    • Before:搬入路が狭く騒音クレーム。

    • After静音キャスター養生材変更台車待機列の視覚化。

    • 効果:クレームゼロ、搬入本数**+15%**。


5|受入条件チェックリスト(合意すると強い)✅

  • 搬入時間窓/クレーン・EVの占有スロット

  • 搬入ルートの幅・高さ・曲がり半径

  • 仮置き可能スペース(中継置場)の有無・サイズ

  • 養生基準(床・壁・角)と静音要件

  • 合図者・連絡先、気象限界(風・雨・雪)

  • 待機課金・代替手配・順延のルール


6|90日でできる“ニーズ対応”ロードマップ️

0–30日

  • 積込み・養生・搬入・配置の**写真つきSOP(A4×3枚)**を作成

  • スロット予約表配置図テンプレを標準化

31–60日

  • ETA共有+ePOD運用開始(無料ツールでもOK)

  • 主要3現場で**中継置場(バッファ)**を試験導入

61–90日

  • OTIF×損傷率×待機のKPIレポートを月次化

  • 監督向けに**“受入条件シート”**の合意運用を開始


7|これからの変化に備えるヒント

  • ユニット化・大型化:一度の揚重で“置き切る”設計が増加 → 搬入路・回転半径の事前検証が鍵。

  • 夜間・静音ニーズ:商業ビル改修が増加 → 静音キャスター・低騒音機材・照度計画をパッケージ化。

  • 人手不足多能工化道具の自動化(昇降機・簡易リフト)で“軽く・速く・安全に”。

  • 環境配慮リターナブル梱包・台車リースの共同化、搬入計画のCO₂可視化が評価指標に。


結び――“運ぶ”から“前に進める”へ

荷揚げの価値は、時間・安全・品質・証跡・環境の五角形で決まります。
段取りが良ければ現場は速く、安全は上がり、コストとCO₂は下がる。
運ぶ人から現場のスループットを設計する人へ。
この視点を持つ荷揚げ業者から、指名と信頼が集まります。次の現場でまずは、スロット予約・ePOD・配置図の三点を。
“待たせない・壊さない・止めない”を、チームの新しい標準にしていきましょう。✨

 

 

そして弊社では一緒に働く仲間も募集をしております♪

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秀英舎のよもやま話~「荷を上げる」の先にあるもの~

皆さんこんにちは!

株式会社秀英舎、更新担当の中西です!

 

~「荷を上げる」の先にあるもの~

 

マンションやオフィスビルの建設現場で、石膏ボード、サッシ、フローリング、設備機器…重くて嵩張る資材が、“必要な階に、必要な数だけ、必要な時間に”並んでいる。
その“当たり前”を支えるのが荷揚げ(資材搬入・揚重)です。スポットで呼ばれることも多い仕事ですが、現場全体の出来に直結する“影の司令塔”。ここには他の職種にはない手応え=やりがい
が詰まっています。


1|「時間を設計する」快感 ⏱️

荷揚げは工程の起点。ラフター・タワークレーン・荷捌き・ハンドリフト・資材置場…多くの歯車を噛み合わせ、遅れゼロで回す段取りはパズルを解くみたいに面白い

  • 30分幅のスロットでクレーン共用を調整

  • エレベーター占有を階ごとにローテ

  • 「先にボードを立て込む→後で配線」など職種間の最短路を引く
    組んだ段取りどおりに現場が動いた瞬間、静かなガッツポーズが出ます。


2|“目に見える成果”が毎日残る

朝は空っぽだったフロアが、昼には壁材の山が番号順に整列、夕方には翌日の作業動線まで確保
写真1枚で達成度が分かるのがこの仕事の醍醐味。職長や監督からの「助かった!」は何度聞いても嬉しい。


3|安全をつくる誇り

荷崩れ・指はさみ・転倒・飛来落下…現場事故の多くは搬入の質に左右されます。

  • 結束・荷重分散・角当ての基本

  • 通路幅・段差・勾配の事前確認

  • **“吊り下の立ち入りゼロ”**の徹底
    「何も起こらなかった一日」が最高の成果。安全を設計する仕事でもあります。


4|体力だけじゃない、“運ぶ技術”

同じ200枚の石膏ボードでも、置き方・向き・順番で大工の生産性が激変。

  • 階段上げの人員配置(上2・下1など)

  • 平台車+養生で床を守りつつ最短動線

  • 先入れ先出しで曲げ・反りを防止
    「重いものを持つ」から「軽く運べる段取り」へ。技術介在の余地が大きい。


5|多職種と“つながる”一体感

電気・空調・内装・防水・左官…すべての職種が、荷揚げの質とタイミングに乗って仕事を始めます。
「何時までに何セット並べる?」「この順でいい?」と短い会話で現場がスムーズに流れたとき、袖で現場を回している感覚が得られます。


6|現場改善が目に見えて効く

荷姿が崩れやすい、搬入口が狭い、搬送距離が長くて人がバテる…そんな“現場の痛み”を見抜いて、

  • 仮設スロープの提案

  • **中継置場(バッファ)**の設置

  • 荷台の並べ替えバンドのかけ直し
    など小さな改善で1時間の遅れが0になる。改善の手応えがダイレクトです。


7|“ありがとう”が早く届く距離感

BtoBの仕事でも、親方や職長、監督からの即時フィードバックが日常。

  • 「明日も同じ段取りで頼む」

  • 「この置き方、めっちゃ作業しやすい」
    その一言がやる気の源です。


8|キャリアの広がりが見える

  • 現場リーダー:職長として工程・安全・品質を統括

  • 機材スペシャリスト:荷揚げロボ/マテハン・各種資格を軸に

  • 施工管理・倉庫管理:段取り力を活かして管理側へ

  • 独立・請負:小隊を率いる“機動力”の商売も可能
    “段取り×安全×信頼”はどの現場でも通用するポータブルスキルです。


9|デジタルで“待たせない”を実装

  • **到着予測(ETA)**を現場と共有

  • **電子受領(ePOD)**で数量・写真・位置を即時記録

  • フロア別の配置図をスマホで確認
    紙と口頭だけの現場より、ムダ歩きが激減。身体も安全も守れます。


10|1日の流れ(例)️

  1. 朝礼・KY(危険予知)→搬入経路と合図者の確認

  2. 荷受け・仕分け→階別・部屋別にタグ付け

  3. 揚重・配置→先行スペースから順に“置き切る”

  4. 緊急差し込み対応→監督とスロット調整

  5. 終業前の整頓→翌日分の手前化(先置き・動線確保)

  6. 引き継ぎ→改善点を写真つきで共有


ケーススタディ:小さな工夫でチームの時間を救う ⛑️

状況:タワマンの内装期。石膏ボード900×1800が1フロア200枚、エレベーターは1基共有。
課題:搬入渋滞で大工が手待ち。
施策

  • エレベーターの30分スロット予約

  • 各戸の中継置場を設定し、先入れ先出し

  • 通路の矢印養生曲がり角の面当て

  • 大工側と間柱建て込みの順番を擦り合わせ
    結果:手待ちゼロ、1フロアの作業完了が前週比−90分。監督の工程も前倒しに。


新人さんへ:最初の90日で身につけたいこと

  • 基本の持ち方・置き方:指を守る角度、コーナー保護、落下方向を作らない置き方

  • 声と合図:短く、同じ言葉で。「止まれ」「上げる」「下げる」は全員同じ手で

  • 道具の基礎:台車・ハンドリフト・ベルト・ラチェットの使い分け

  • 養生の型:床・壁・角の三点セット、滑り対策

  • 安全の優先順位:重い>高い>狭い。迷ったら“止める勇気”
    できることが増えるほど、身体は楽に・現場は速く・信頼は厚くなります。


荷揚げの“やりがい”を支える3つの習慣 ✅

  1. 段取りはA4一枚に(時刻・経路・置場・連絡先)

  2. 写真で残す(ビフォー/アフター/不具合)

  3. 足場と足元を最優先(滑り・段差・転倒をゼロに)


結び——「荷を上げる」は、現場を前に進めること

荷揚げは単なる運搬ではありません。**時間を設計し、安全をつくり、作業者の生産性を最大化する“現場の推進力”**です。
今日もあなたが置いたその一山が、明日の施工を速く、楽に、安全にします。
静かな達成感と、たくさんの「助かった」を集めに、また現場へ。

 

 

そして弊社では一緒に働く仲間も募集をしております♪

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